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構成

再配布(IPv6)

シナリオ

■IS-IS
IS-IS(Intermediate System to Intermediate System)は、リンクステート型ダイナミックルーティングプロトコルです。
IPv4、IPv6の両方に対応しており、1つのプロトコルインスタンスでそれらを並行運用することが可能です。
IS-ISはOSI 環境で動作するために開発された経緯から、NSAPアドレスと呼ばれる可変長の識別子を利用してルーティングを行います。
NSAPアドレスのうち、NSEL (NSAP Selector) フィールドを 0x00 に設定したものをNET (Network Entity Title) と呼びます。

NSAPアドレス形式:49.aaaa.xxxx.yyyy.zzzz.00

エリアID
49・・・AFIと呼ばれるエリア識別子。プライベートの場合は49を使用します。
a  ・・・ドメイン識別子。エリア内で共通の任意の値を使用できます。

システムID
x.y.z・・・デバイス識別子。任意の値を使用可能。

NSEL
00・・・デバイス自体を表すフィールド。0x00固定で設定する。

■再配布
学習した経路情報を異なるルーティングプロトコル(スタティックも含む)へアドバタイズすることを再配布(再配送)と呼びます。
経路情報の再配布を設定することで異なるプロトコルのネットワーク間で通信が可能となります。

本設定事例では、FXC9432及び、FXCX9526Fを用いたIS-ISルーティング環境を構築する設定について解説します。
以下のシナリオを前提として設定を行います。

・IPv6アドレスを用いたルーティング環境を構築する。
・同一エリア内の経路情報をアドバタイズし、相互通信を可能にする。
・異なるエリア内の経路情報をアドバタイズし、相互通信を可能にする。
・L3SW#3に接続されたOSPFv3ネットワーク[2001:3::0/64]をIS-IS エリア1ネットワークに再配布(再配送)する。

設定例

■再配布
L3SW#3に接続されたOSPFv3ネットワーク[2001:3::0/64]をIS-IS エリア1ネットワークに再配布する場合は、
以下の設定例を参考に設定を行ってください。

IS-ISからの再配布

モード コマンド コメント
L3SW#3(config)# ipv6 router ospf 1 OSPFv3を有効化
L3SW#3(config-router)# router-id 1.1.1.1 任意のルータID(IPv4アドレス形式)を設定
※有効なIPv4アドレスがない場合に必要
L3SW#3(config-router)# redistribute isis level-2 IS-ISの経路情報を再配布するように設定

OSPFv3からの再配布

モード コマンド コメント
L3SW#3(config)# router isis IS-ISを有効化
L3SW#3(config-router)# address-family ipv6 IPv6アドレスファミリの設定モードへ移行
L3SW#3(config-router-af)# redistribute ospf 1 level-1-2 OSPFv3の経路を再配布するように設定
L3SW#4(config-router-af)# exit-address-family IPv6アドレスファミリの設定モードから離脱

L3SW#1

モード コマンド コメント
L3SW#1(config)# router isis IS-ISを有効化
L3SW#1(config-router)# net 49.0001.0000.0000.1111.00 NSAPアドレスを定義
L3SW#1(config-router)# exit
L3SW#1(config)# interface GigabitEthernet 0/1
L3SW#1(config-if)# no switchport Routed-portに設定
L3SW#1(config-if)# ipv6 enable IPv6を有効化
L3SW#1(config-if)# ipv6 address 2001:1::1/64 IPv6アドレスを設定
L3SW#1(config-if)# ipv6 address autoconfig IPv6リンクローカルアドレスを自動生成
L3SW#1(config-if)# ipv6 router isis インターフェースでIS-ISを有効化
L3SW#1(config-if)# exit
L3SW#1(config)# interface tenGigabitEthernet 0/32
L3SW#1(config-if)# no switchport Routed-portに設定
L3SW#1(config-if)# ipv6 enable IPv6を有効化
L3SW#1(config-if)# ipv6 address FD00:1::1/64 IPv6アドレスを設定
L3SW#1(config-if)# ipv6 address autoconfig IPv6リンクローカルアドレスを自動生成
L3SW#1(config-if)# ipv6 router isis インターフェースでIS-ISを有効化
L3SW#1(config-if)# exit
L3SW#1(config)# interface tenGigabitEthernet 0/30
L3SW#1(config-if)# no switchport Routed-portに設定
L3SW#1(config-if)# ipv6 enable IPv6を有効化
L3SW#1(config-if)# ipv6 address FD00:2::1/64 IPv6アドレスを設定
L3SW#1(config-if)# ipv6 address autoconfig IPv6リンクローカルアドレスを自動生成
L3SW#1(config-if)# ipv6 router isis インターフェースでIS-ISを有効化
L3SW#1(config-if)# isis circuit-type level-2-only IS-ISでのエリア間のルーティングを有効化
L3SW#1(config-if)# exit

L3SW#2

モード コマンド コメント
L3SW#2(config)# router isis IS-ISを有効化
L3SW#2(config-router)# net 49.0001.0000.0000.2222.00 NSAPアドレスを定義
L3SW#2(config-router)# exit
L3SW#2(config)# interface TenGigabitEthernet 0/1
L3SW#2(config-if)# no switchport Routed-portに設定
L3SW#2(config-if)# ipv6 enable IPv6を有効化
L3SW#2(config-if)# ipv6 address FD00:1::2/64 IPv6アドレスを設定
L3SW#2(config-if)# ipv6 address autoconfig IPv6リンクローカルアドレスを自動生成
L3SW#2(config-if)# ipv6 router isis インターフェースでIS-ISを有効化
L3SW#2(config-if)# exit
L3SW#2(config)# interface TenGigabitEthernet 0/2
L3SW#2(config-if)# no switchport Routed-portに設定
L3SW#2(config-if)# ipv6 enable IPv6を有効化
L3SW#2(config-if)# ipv6 address 2001:2::1/64 IPv6アドレスを設定
L3SW#2(config-if)# ipv6 address autoconfig IPv6リンクローカルアドレスを自動生成
L3SW#2(config-if)# ipv6 router isis インターフェースでIS-ISを有効化
L3SW#2(config-if)# exit

L3SW#3

モード コマンド コメント
L3SW#3(config)# router isis IS-ISを有効化
L3SW#3(config-router)# net 49.0002.0000.0000.3333.00 NSAPアドレスを定義
L3SW#3(config-router)# address-family ipv6 IPv6アドレスファミリの設定モードへ移行
L3SW#3(config-router-af)# redistribute ospf 1 level-1-2 OSPFv3の経路を再配布するように設定
L3SW#4(config-router-af)# exit-address-family IPv6アドレスファミリの設定モードから離脱
L3SW#3(config-router)# exit
L3SW#3(config)# ipv6 router ospf 1 OSPFv3を有効化
L3SW#3(config-router)# router-id 1.1.1.1 任意のルータID(IPv4アドレス形式)を設定
L3SW#3(config-router)# redistribute isis level-1-2 IS-ISの経路情報を再配布するように設定
L3SW#4(config-router)# area 2 エリアを設定
L3SW#5(config-router)# exit
L3SW#3(config)# interface TenGigabitEthernet 0/1
L3SW#3(config-if)# no switchport Routed-portに設定
L3SW#3(config-if)# ipv6 enable IPv6を有効化
L3SW#3(config-if)# ipv6 address FD00:2::2/64 IPv6アドレスを設定
L3SW#3(config-if)# ipv6 address autoconfig IPv6リンクローカルアドレスを自動生成
L3SW#3(config-if)# ipv6 router isis インターフェースでIS-ISを有効化
L3SW#3(config-if)# isis circuit-type level-2-only IS-ISでのエリア間のルーティングを有効化
L3SW#3(config-if)# exit
L3SW#3(config)# interface TenGigabitEthernet 0/2
L3SW#3(config-if)# no switchport Routed-portに設定
L3SW#3(config-if)# ipv6 enable IPv6を有効化
L3SW#3(config-if)# ipv6 address 2001:3::1/64 IPv6アドレスを設定
L3SW#3(config-if)# ipv6 address autoconfig IPv6リンクローカルアドレスを自動生成
L3SW#3(config-if)# ipv6 ospf 1 area 2 インターフェースでOSPFv3を有効化
L3SW#3(config-if)# exit

※実環境におけるEUI-64方式でのIPv6アドレス自動生成は非推奨です。

関連コマンド

show isis database
show isis neighbors
show isis protocol
show isis interface

■IPv6
show isis ipv6 topology
show ipv6 route