VRF間の通信 次項 » « 前項



構成


Q-in-Q(IEEE802.1ad)

シナリオ

VRF-Lite (Virtual Routing and Forwarding-Lite)環境では、
論理的に分割されているため、一般的には、異なるVRFインスタンス間で通信が出来ません。
異なるVRFインスタンス間で通信をする場合には、ルーティング情報を共有(ルートリーク)する必要があります。

ルートリークは、あるVRFから別のVRFへルーティング情報を
「漏らす」ことを意味し、異なるVRFインスタンス間で通信を可能にします。

本設定では、Staticルートを使用してルートリーク(ルーティング情報の共有)を行う方法を紹介します。

VRF間の通信する設定事例の通信要件は以下の通りです。
 ・VRF(fxc1、fxc2)からVRF(global)のルータ(インターネット)へ通信許可
 ・VRF(fxc1、fxc2)間の通信は使用しない。

ルータの設定(インターネット接続や、各VRF宛のルート情報登録等)は完了しているものとします。


設定例

以下の内容でFXC9432の設定します。
VLAN1  192.168.100.254/24  (VRF:Global)
VLAN10  192.168.10.254/24   (VRF:fxc1 rd 1:1)
VLAN20  192.168.20.254/24   (VRF:fxc2 rd 1:2)

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①VLAN定義  
FXC9432(config)# vlan 10  
FXC9432(config-vlan)# vlan 20  
     
②VRFインスタンスを作成  
FXC9432(config)# ip vrf fxc1 VRFインスタンス(fxc1)を作成
FXC9432(config-vrf)#  rd 1:1 RD (Route Distinguisher)を設定
FXC9432(config-vrf)# exit  
FXC9432(config)# ip vrf fxc2 VRFインスタンス(fxc2)を作成
FXC9432(config-vrf)#  rd 1:2 RD (Route Distinguisher)を設定
FXC9432(config-vrf)# exit  
     
②VRFをインターフェースに割当て  
※IPが付与できるインターフェースに設定可  
FXC9432(config)# int vlan 1 (VRF:Globalは指定不要です。)
FXC9432(config-if)#  ip address 192.168.100.254 255.255.255.0 IPアドレスを設定します。
FXC9432(config-if)# int vlan 10  
FXC9432(config-if)#  ip vrf forwarding fxc1 VLAN10をVRF(fxc1)に設定します。
FXC9432(config-if)#  ip address 192.168.10.254 255.255.255.0 IPアドレスを設定します。
FXC9432(config-if)# interface VLAN 20  
FXC9432(config-if)#  ip vrf forwarding fxc2 VLAN20をVRF(fxc2)に設定します。
FXC9432(config-if)#  ip address 192.168.20.254 255.255.255.0 IPアドレスを設定します。
     
③ポートにVLAN(VRF)割当て  
FXC9432(config)# int range gigabitEthernet 0/1-16  
FXC9432(config-if-range)#  description ###VRF_Global### (オプション)ポートに説明書き
FXC9432(config-if-range)# int range gigabitEthernet 0/17-20  
FXC9432(config-if-range)#  description ###VRF1_fxc1### (オプション)ポートに説明書き
FXC9432(config-if-range)#  switchport access vlan 10 VLAN割当て
FXC9432(config-if-range)# int range gigabitEthernet 0/21-24  
FXC9432(config-if-range)#  description ###VRF2_fxc2### (オプション)ポートに説明書き
FXC9432(config-if-range)#  switchport access vlan 20 VLAN割当て
     
④VRF間ルート設定  
FXC9432(config)# ip route 192.168.10.0 255.255.255.0 VLAN 10 global=>fxc1へのStaticルート
FXC9432(config)# ip route 192.168.20.0 255.255.255.0 VLAN 20 global=>fxc2へのStaticルート
FXC9432(config)# ip route vrf fxc1 0.0.0.0 0.0.0.0 VLAN 1 192.168.100.1 fxc1=>globalへのデフォルトルート
FXC9432(config)# ip route vrf fxc1 192.168.20.0 255.255.255.0 Null 0 VRF間ルートを破棄ルートに指定
FXC9432(config)# ip route vrf fxc2 0.0.0.0 0.0.0.0 VLAN 1 192.168.100.1 fxc2=>globalへのデフォルトルート
FXC9432(config)# ip route vrf fxc2 192.168.10.0 255.255.255.0 Null 0 VRF間ルートを破棄ルートに指定

関連コマンド

 show ip vrf brief
 show ip vrf interfaces
 show ip route
 show ip route vrf fxc1
 show ip route vrf fxc2



その他、備考

注意
 ・ネクストホップの無い場合、設定/構成により、通信失敗(未達)やルーティングループが発生します。
 ・ネクストホップが無いVRFインスタンスのFXC9432のVLAN Interfaceから他インスタンスへの通信は出来ません。
  ※ネクストホップがある場合でも、FXC9432のVLANInterface同士の直接的な通信はできません。
 ・ルータにVRF(fxc1/fxc2)向けのルート情報も必要になります。

補足
 ・破棄ルート(Nullルート)を使わずに、アクセスリスト等での制御も可能です。
 ・破棄ルート(Nullルート)を設定しない場合は、グローバルインスタンスのネクストホップ(ルーター)経由で各VLANの
  端末通信が可能になります。

応用
 ルーティング範囲を絞り、インターネットが使える端末を限定する
  例)192.168.20.0~127まではインターネットを使えるが、
    192.168.20.128~254までは、インターネットを使えなくする。
  global=>fxc2へのStaticルートを変更する。(戻りルートの設定を変更する。)
   ip route 192.168.20.0 255.255.255.128 VLAN 20
   ip route 192.168.20.128 255.255.255.128 Null0
    ※本設定のNull0宛の破棄ルートは必須ではありませんが、ルーティングループ等を防止する目的で設定
     しています。